GALLERY KTO

【ステートメント】
本展覧会は、屋根裏ハイツの公演「父の死と夜ノ森」のメインビジュアルを担当するにあたり制作された作品群の個展となる。
制作では戯曲に出てくる福島県富岡町・いわき市へ足を運びリサーチを行った。静かに佇む家と家、その間を這うように見え隠れしている人の営みの残像。白線の先には、人知れず天まで伸びてゆくほどの草木がある。時間とともに移り変わっていく風景の中に、ひっそりと漂い続ける小さな呼吸の音がそこにあった。
また戯曲家である松田正隆氏へ会いに行き、話を聞いた。いくつもの出来事が、戯曲の言葉を起点に身体的な動きから浮かび上がってくる。それらの出来事は時に離れたり、時に集まったりと、時間の経過とともに次第に交差していく。
既に与えられているその場、その事、その身体を引き受けていくことは、居場所を指し示す兆しとなるのではないだろうか。その所在の手触りを確かめていくように、絵と向き合っていった。
"〈いまとここのこと〉"を基軸に展開されていく戯曲を通し、実在する特定の場所へ焦点を合わせていくことで、瓶という物質を超えて表現される瓶の概念の構造を露わにしていく新たな展開への挑戦となる。

《関連情報》
屋根裏ハイツ7F演劇公演
『父の死と夜ノ森』　
作：松田正隆　演出：中村大地
公演期間：2023年1月19日（木）〜22日（日）
場所：STスポット　神奈川県横浜市西区北幸１丁目１１−１５ 横浜STビル B1F
https://yaneuraheights.net